『原発と温暖化―安全に、うまく使いたい』原発の稼働率を欧米並みにするだけで温暖化対策の柱とする朝日社説の欺瞞

http://www.asahi.com/paper/editorial20090506.html
2009年5月6日(水)付 朝日新聞社
原発と温暖化―安全に、うまく使いたい

http://d.hatena.ne.jp/nps-9/20090510/1241985980
もっぱら環境とエネルギー2009-05-10  より
朝日新聞の欺瞞 より
 5月6日付の朝日新聞社説は「原発と温暖化」。
−安全に、うまく使いたい−との副題がある社説の中で
二酸化炭素をほとんど出さない原発を少なくとも当面の間は安全性に配慮しつつ、今ある原発を活用せざるを得ない」としている。
「活用せざるを得ない」との表現は朝日新聞原発を根っから危険視しているから出た言葉だがその根拠はチェルノブイリ事故か。

 社説の最後に「原発に依存してばかりいては日本の温暖化対策は進まない。
−略−
長い目で見れば、自然エネルギーの拡大やエコカーの普及など、原発に頼らない低炭素化の充実が不可欠だ」と書いている。
あらたなサイトは困難とのことだが、国や電力はまだ11基の建設とそのあと2030年頃からの建て替えを計画している。

 今ある原発稼働率を欧米並みにするだけで温暖化対策の柱にするのは無理だ。
朝日新聞の言う「当面の間」とは何年くらいのことを指しているのか。
今の原発はあと20年くらいで寿命が来るのだから「20年くらい」と考えているのだろうか。

 これからエコカーの主役は電気自動車だが、その電力は原発の増設を必要としないのだろうか。
読者に現実を知らせず、言葉巧みに自然エネルギーの夢を見続けさせる朝日新聞の社説は欺瞞に満ちている。


朝日社説全文は以下
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原発と温暖化―安全に、うまく使いたい
 全国の原子力発電所の08年度の稼働率が60%にとどまったと、経済産業省原子力安全・保安院が発表した。

 2年連続の低水準である。国際的にも際だって低い。米国や韓国、フィンランドのように90%前後の国もあるほか、独仏やカナダも、おおむね75〜80%を維持している。

 日本も90年代の半ば以降は80%を超え、98年度には84%にも達していた。70%を切るほどに低迷するようになったのは、ここ5、6年のことだ。

 電力会社によるトラブル隠しの表面化や事故などで、各地の原発が止まったことが背景にある。

 しかも新潟県中越沖地震の後、東京電力柏崎刈羽原発(全7基、計821万キロワット)が止まっていることが、稼働率を大きく引き下げている。

 このうち7号機は、連休明けにも新潟県知事が試運転を認める可能性があるものの、残る6基の再開にはそれぞれ慎重な検討が必要だ。

 原発稼働率が落ちることで不足する電力は主に火力発電で補われるため、二酸化炭素(CO2)の排出が増えてしまう。稼働率の低迷は、地球温暖化の防止の点から問題を抱えている。

 温室効果ガスの削減を先進国に義務づけた京都議定書で、日本は「08〜12年度の平均で90年比6%削減」という義務を負っている。それ以降の次期枠組みでは、さらに意欲的な削減目標を国際的に求められるだろう。

 原発は運転の際にCO2をほとんど出さない。さまざまな負の側面を抱えているとはいえ、こうした国際公約を達成するには、少なくとも当面の間は、安全性に配慮しつつ今ある原発を活用せざるをえない。

 今年、原発の定期検査の間隔を、従来の13カ月から最大24カ月にまで広げることに道を開く新たな仕組みができた。政府が安全性を認めた原発に適用される。電力各社の品質管理の努力によっては、諸外国なみの稼働率の実現も可能になる。

 ただ、原発の地元では、定期検査の間隔が開くことに安全面での不安も根強い。電力各社は安全最優先の意識を改めて徹底し、事故やトラブルの防止に全力をあげてほしい。

 稼働率を優先するあまり、点検や補修の際に慎重さを欠いたり、検査データを改ざんしたりするのは論外である。稼働率を上げるには、原発への社会の理解と信頼が欠かせない。

 だが、そもそも原発の新たな立地が難しいことを考えると、原発にばかり依存していては日本の温暖化対策は進まない。

 社会や産業のグリーン化で温暖化に立ち向かうことを基本にしたい。長い目で見れば、自然エネルギーの拡大やエコカーの普及など、原発に頼らない低炭素化の充実が不可欠だ。