朝日新聞の若宮氏の赤面コラム

大高未貴の世界見聞録: こんな恥ずかしさ、ありえない! 2008年12月3日 水曜日 より

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大高未貴の世界見聞録: こんな恥ずかしさ、ありえない!
Filed under: 日記 — miki @ 19時29分
12月1日、朝日新聞若宮啓文氏の「自衛隊の君へ」というコラムを読んで、私はこんな歪んだ考えの持ち主がいたのかと驚き、ぞっとするだけでなく恥ずかしくて赤面した。
この恥ずかしさをどう表現したらいいのか適切な言葉が浮かばないが、おそらく普通の日本人なら見てはいけないものを見てしまったような心境になるであろうし、自衛隊員なら”俺たちを馬鹿にするにもほどがある”と怒り心頭になるだろう。
まるで自衛隊員が小学生レベルの知識しかないような前提で、狂気の左翼教師が笑みをたたえながら自分の思想を自衛隊に諭す論説になっている。
いままでさんざん、自衛隊をコケにし、彼らの活躍は報じず不祥事を喜々として報じてきたにもかかわらず、なんと若宮論説主幹は自衛隊と”お友達”なので、自衛隊の心の機微まで理解できるんだそうだ。
いくつかの駐屯地を取材した私でさえ、自衛隊の気持ちがすべて理解できるなどと自惚れることは生涯ないであろうが、なんとも若宮氏は超人だ。
それではコラムの欺瞞を細かく暴いていこう。
自衛隊幹部を目指して精進しているA君、久しぶりだね。いま君はとても複雑な心境なのではないかと思い筆をとりました。ほかでもない、驚くような懸賞論文をかいて解任された田母神前空幕長の一件です。文民統制を踏み外したトップの言動に戸惑うのは当然として、、」という書き出しではじまる。
天下の朝日ともあろうジャーナリストが文民統制の意味も知らないとは、、。
田母神氏が政府の判断なく勝手に軍事行動やクーデターを起こしたならよくわかるが、懸賞論文書いただけで文民統制を踏み外すなどと表現したら、普通のフリーライターですら編集長に”勉強して出直せ”と怒られ、原稿はボツにされ、二度と原稿依頼は来ない。

「数年前、朝日の社説が思い切って有事法制の賛成にカーブを切ったのを覚えていますか」
これは大嘘。
有事法制に最後まで反対していたのは朝日だったが、さすがに緊急事態に対応できない、国際社会においてあまりにも非常識な日本の有事法に世論が動き、朝日も世論に対して理論武装できずに嫌々ながら賛成しただけ。

「日本は蒋介石ルーズベルトの罠にはまって戦争した被害者だ。そんな趣旨で書かれたこの論文が事実誤認や都合のよい思い込みに満ちていることは、多くの信用ある歴史家が語っているので繰り返しません」
都合のよう思い込みという言葉を若宮氏にそのままお返ししたい。
コミンテルンの介入など、近年、様々な新資料が発掘された最大の理由は冷戦構造の崩壊にある。
ましてやルーズベルトの罠はアメリカの歴史研究家がいいだしたことで、現在、ジャーナリストや歴史学者がすることは、冷戦以前の歴史認識を呪文のように唱えて正当化することではなく、新資料を客観的に検証し、それが事実であれば歴史を書き換えることである。
しかしそれは容易な作業ではないことも自覚しながら少しずつ謙虚に前進すべきだ。

「僕が問題にしたいのは”日本がいい国だと思えなかったら、誰が命がけで国を守れようか”という意味の田母神氏の発言です。
共感する隊員もいるようだね。国を愛すればこその国防だというのはよくわかる。
だけど、だから日本が間違いを犯したわけがない、侵略なんかしなかったというのは子供じみていないかな」
田母神氏はそんな単純なことは書いていない。
第一、いつの時代で区切るかでも見方は変わる。最も単純なこと、あの帝国主義の時代に日本が日清、日露戦争で勝たなかったら、今頃、旧満州朝鮮半島も日本もロシアの植民地になっていた。
第一、侵略を問うなら、現在進行形で行われている中国のチベットウイグル内モンゴルの侵略を何故、朝日は侵略と書かないのか?
中国にアヘンをばらまいたイギリスは?インディアンを虐殺したアメリカは?
南米を蹂躙したスペインやポルトガルは?アボリジニを動物のように射殺してきたオーストラリアは?
これらは侵略といわないのか?
これらの国が自国の軍隊や歴史教科書にどのように過去の歴史を教えているか、検証したことはあるのか?
第一、関東軍の駐留は満州の居留民の保護ということで国際法上、合法的に行ったことを忘れてはならない。
歴史を検証するときは全体、前後の脈絡をみないと何にも意味がない。

「日本では1930年から6年間に要人襲撃が相次いで首相と首相経験者の4人が殺され、この時期に政党内閣が終わって言論の自由も失われた(略)要人襲撃とは、軍人が起こした5.15事件や2.26事件などのこと」
何という論理飛躍!田母神氏が麻生首相と閣僚を殺害したのか?
しかも日本に言論の自由が失われたのは終戦直後、アメリカ占領軍によってからはじまり、占領軍の意に沿わない報道をしたら紙もインクも支給しないと、脅かされ、発行停止処分になって、それ以降、自社の存続のために占領軍のお先棒をかついで世論を誘導してきたことを知らぬとでも言うつもりかしら?
天皇が日本を愛していないわけがない。かけがえのない国だと思えばこそ痛恨の思いがみてとれます。
田母神氏はこうした軍人のテロやクーデターも外国の罠だったというのでしょうか」
ご都合主義で自らの論説に易々と天皇を利用する姿勢が見え見え。あまりにも姑息。

朝日新聞は”新聞と戦争”という連載で当時の報道を検証し、本にもしました」
これも嘘。肝心なことは何も検証していない。
詳しくは『1937 南京の真実飛鳥新社から出ているマンガ本をご一読いただきたい。
私は当時、朝日新聞が南京をどう報じたのかコラムを書いています。

自衛隊発足にあたり、時の吉田首相が最も気を配ったのが旧軍との断絶だったことを若い君たちは知っているかな」
吉田ドクトリンを理解していない。
吉田首相はまず最初に経済復興に焦点をあてただけで、のちに再軍備憲法改正を視座に入れていた。だから自民党の党是には憲法改正が入っていることを忘れてはならない。
残念ながら現在、多くの自民党議員ですら忘れているようだが、、、。旧軍との断絶を願ったのは日本の弱体化をおしすすめたアメリカである。

「田母神氏は村山談話を目に敵にするけれど」
村山談話こそ国会決議できず、ゲリラ的に発表されたものにすぎない。
そもそも一内閣が勝手に歴史を解釈してはいけない。

「最後に、今度の事件で米国の友人たちが驚いていることを伝えておこう。
日本がナチス・ドイツとも手を組んで行ったあの戦争を、よりによって自衛隊のトップが正当化し、ルーズベルト大統領の陰謀で片ずけようとは、、。
果たしてこれが信頼する同盟相手の言葉だろうか、という嘆きです」
嘘、嘘、嘘。こんな軽薄な米国人はいない。明らかに作り話だ。
本当にインタビューしたなら、匿名であっても職業やイニシャルくらい出すのが常識。
幼稚な論理で”日米同盟がゆらぐぞ”と恫喝しているだけ。

「どうか君たちは今度のことに惑わされず、旧軍とは違った自衛隊ならではの気概と誇りを持ってほしい。心からそう思います。それではどうぞお元気で。いずれゆっくり語り合いましょう」
冗談じゃない。こんな狂人と語り合うほど自衛隊にヒマ人はいない。
明白なことは旧軍の伝統は現在の自衛隊にも受け継がれているということだ。
旧軍の伝統とは日清、日露から大東亜戦争に至るまで欧米列強の植民地にされぬよう、日本を守り続けてきたということに他ならない。