朝日の社説:外部から圧力を掛けやすいように、教科書検定を公開せよ

酔っ払いのうわごと2008-12-05 ■[朝日新聞]教科書検定 より

http://d.hatena.ne.jp/oguogu/20081205/1228461035
酔っ払いのうわごと2008-12-05 337cc
■[朝日新聞]教科書検定

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教科書検定―密室の扉がわずかに開く
(cache) asahi.com朝日新聞社):社説
http://s02.megalodon.jp/2008-1205-1159-59/www.asahi.com/paper/editorial20081205.html
「 研究者らの間から文部科学省職員として採用される教科書調査官が意見書を作り、有識者による検定調査審議会にかける。その結論をもとに教科書会社に修正を求める仕組みだ。
 驚くのは、その密室性である。審議会が非公開なことは言うに及ばず、意見書の中身や審議の概要も明らかにされない。それどころか、担当した調査官や審議委員の名前すら秘密である。「静かな環境で議論していただく」というのが、文科省の言い分だ。
 今回、扉を少し開こうとするのは、安倍内閣時代の高校日本史の検定で、沖縄の集団自決が日本軍に強いられたという趣旨の記述を削らせ、その後事実上修正した一件がきっかけだ。
 改善案では、調査官の名前や担当教科を公開し、検定終了後に調査官の意見書や審議概要、出席した審議委員名も明らかにする。審議の過程で議論が明らかになれば外部からの働きかけも懸念される中では、これが限界というのが文科省の言い分なのだろう。」

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朝日新聞は、教科書検定を『驚くのは、その密室性である』と断じます。しかし、公開すれば、どうなるかは、やる前から解っているのではないのでしょうか。
朝日新聞が『文科省の言い分』と書いている通り、『外部からの働きかけ』で議論する事も出来無くなってしまうに違いないのです。

検定の公開性を求める人は、『外部からの働きかけ』など大した事が無いと云うかも知れません。しかし、そのような事が言えるのは、今まで安全地帯にいたサヨク・リベラル派故にでしょう。
それは、今まで教科書検定に圧力を掛けてきたのは、サヨク・リベラル派ばかりだったからです。保守派から直接的な攻撃を受けないと思っているのでしょう。

保守派からすれば、危険を感じざるを得ない事が、いくつもありました。その一例としては、新しい歴史教科書をつくる会の教科書を採用するかどうかの問題で、教育委員会に対して脅迫電話が掛かってきた事が挙げられます。住職でもある、その教育委員は、お寺に続く石段を教育委員の老母が登る時は気をつけろ、と言われたそうです。正体が解らない分、右翼の街宣活動などとは比べ物にならないくらいに不気味さを感じてしまいます。新しい歴史教科書をつくる会の事務所に火炎瓶が投げ込まれた事を考えれば、調査官がテロに会う危険性さえあるかも知れません。

しかし、時代は変わったのです。抗議行動は、サヨク・リベラル派の専売特許では無くなりました。今では朝日新聞などからすると所謂「ネット右翼」と呼ばれるように人達が存在するのです。しかも、比較的若い年齢の人が多いとされていますから、どのような行動に出るか解らない部分があります。今までのサヨク・リベラル派以上の事をしでかさないとは限らないのです。

現在の、そのような状況の中で教科書検定を公開すれば、どうなるのでしょうか。私は、左右入り乱れて大混乱に陥るだけだと思います。

朝日新聞は、自分達のようなサヨク・リベラル派のメディアの主張が最終的には通ると思っているのかも知れません。しかし、「従軍」慰安婦問題や、外国人参政権問題で読売新聞が、朝日新聞とは正反対の主張をする時代でもあるのです。メディアが割れれば、当然の事ながら昔のようにサヨク・リベラル派の主張が通る事は少なくなります。また、産経新聞以外の全ての新聞が批判した靖国参拝のようにメディアの思惑とは逆の結果を招く事ようにもなりました。

ある意味に於いて、今回の教科書検定改善案は、教科書問題その物を終わらせるかも知れません。

「 だからと言って、これで十分だとは言えない。集団自決検定と同じような事態になったとしても、その事実を知らされるのはこれまで通り結論が出た後なのだ。仮に検定過程で意見書が明らかになっていれば、沖縄戦の専門家らから指摘があったはずだ。」

朝日新聞は、こう主張していますけれど、『沖縄の集団自決が日本軍に強いられたという趣旨の記述を削らせ、その後事実上修正した一件』と云う事自体が捏造だからです。『事実上修正』と云うのは、「12万人もの集会」(実質2万人弱)をしながら修正させる事が出来なかった言い訳に過ぎません。教科書には一貫して「日本軍の関与」と書かれていました。それは、そう書くしかなかったからです。『広島ノート』裁判もありましたけれど、曽野綾子氏の著作が改めて注目されたため大本である『鉄の暴風』の信憑性に疑問が生じてしまったのです。

そして改めて集団自決を振り返った時に、証言はあっても証拠に乏しい事が明らかになりました。去年の検定の後でも「あった」などと云う証拠は、何一つとして『沖縄戦の専門家らから指摘』されていません。それどころか、自決命令と言われる物は曖昧な証言だけだったりして、確実に「強制」があった事例は見つかっていなかったのではないのでしょうか。『沖縄戦の専門家』の言うのは、慰安婦問題と同じで「強制性」です。確かに日本軍が手榴弾を渡していたりはするのですけれど、それで死ねと言った証拠は残っていません。朝日新聞が『強いられた』と書いて「強制があった」と書かないのは、そのためでしょう。

証拠を伴った『沖縄戦の専門家らから指摘』があったならば、翌年の教科書からは書き直されるはずです。朝日新聞は、「強制」なり「強制性」なりを認めさせたいのであれば、証拠を出すべき、としか言えません。それが歴史に正面からぶつかると云う事ではないのでしょうか。

社説全文は以下

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教科書検定―密室の扉がわずかに開く

 教科書検定の透明性を高めるための改善案がまとまった。検定が終わった後に、経過が大まかにではあるが公表されることになる。

 子どもたちが学校で使う教科書は、民間が作ったものを政府が中身や表現を点検し、必要に応じて修正させる。それが教科書検定制度である。

 研究者らの間から文部科学省職員として採用される教科書調査官が意見書を作り、有識者による検定調査審議会にかける。その結論をもとに教科書会社に修正を求める仕組みだ。

 驚くのは、その密室性である。審議会が非公開なことは言うに及ばず、意見書の中身や審議の概要も明らかにされない。それどころか、担当した調査官や審議委員の名前すら秘密である。「静かな環境で議論していただく」というのが、文科省の言い分だ。

 今回、扉を少し開こうとするのは、安倍内閣時代の高校日本史の検定で、沖縄の集団自決が日本軍に強いられたという趣旨の記述を削らせ、その後事実上修正した一件がきっかけだ。

 改善案では、調査官の名前や担当教科を公開し、検定終了後に調査官の意見書や審議概要、出席した審議委員名も明らかにする。審議の過程で議論が明らかになれば外部からの働きかけも懸念される中では、これが限界というのが文科省の言い分なのだろう。

 これまでと比べれば、前進ではある。どんな人のどんな意見がもとになって修正意見がついたのかということを、事後にだが知ることはできる。公開を意識すれば検定の議論がより真剣、慎重になるだろうし、国民が次の検定を見守る参考にもなる。

 だからと言って、これで十分だとは言えない。集団自決検定と同じような事態になったとしても、その事実を知らされるのはこれまで通り結論が出た後なのだ。仮に検定過程で意見書が明らかになっていれば、沖縄戦の専門家らから指摘があったはずだ。

 加えて、審議会を非公開とし、議事録を作らないことについては従来通りだという。教科書作りの指針となる学習指導要領を審議する中央教育審議会が原則公開されていることと比べると、その差は歴然である。

 そもそも調査官の意見を、検定後にしか知りようがないのも気がかりだ。意見書の内容がその後の審議の基調になるとすればなおさらだ。

 もちろん歴史教科書にとどまらない。どの教科でも子どもたちが学ぶ大切な素材である。教科書の中身がどう決まっていくのか。不合理な点や偏ったところはないのか。多くの目にさらされて悪いことはないはずだ。透明化へ向けたさらなる改革が欠かせない。

 検定はどうあるべきか。そもそも検定自体がどこまで必要なのか。そんな本質的な議論も必要だろう。