「少子高齢化―がんばりようがあるか」:全く何を言いたいのか意味不明な朝日新聞社説

少子高齢化―がんばりようがあるか」:全く何を言いたいのか意味不明な朝日新聞社

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20121004
木走日記2012-10-04 より
聡明な読者のみなさん、この朝日社説が何を言いたいのか教えて他

■[メディア]聡明な読者のみなさん、この朝日社説が何を言いたいのか教えてください〜4日付け朝日社説「少子高齢化―がんばりようがあるか」が何を言いたいのかまったく理解できない私 19:05

 今日はダブルエントリーです。

 半年前の読売記名記事ですがとても具体的でわかりやすかったです。

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少子高齢化」への対策
就業者増やし「支え手」確保 / 女性・高齢者に働きやすい環境を
 少子高齢化社会保障制度は崩壊する――。若い世代を中心に、そんな悲観論が広まっている。40年後には高齢者1人を現役世代1人で支える「肩車型」になると言われ、世代間の対立感情も強まる一方だ。超高齢社会の荒波を乗り切ることはできるのか。(林真奈美)
 (後略)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=57914
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(中略)
 保育サービスなど子育て支援の拡充と、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の確保など働き方の改革の両面から取り組み、働く意欲のある人がすべて働けるようにする必要があります。
 ワーク・ライフ・バランスへの配慮など柔軟な働き方の開拓は、体力や意欲に個人差が大きい高齢者の雇用拡大にも通じることでしょう。
 働く高齢者が増え、年金支給開始年齢の引き上げが可能になれば、支え手の負担も減らせます。
 さらに、低賃金や不安定雇用にあえぐ非正規労働者の処遇改善も急務です。
 子供を産んだ後も女性が働きやすい環境をしっかりと整えれば、長期的には出生率の向上をもたらし、社会保障制度の安定にもつながるわけです。

 具体的な対策を提示していて良記事であります。

 まさにいまこそ、保育所不足の早期解消、子育て女性も安心して働ける働き方の改革等々、具体的に検討すべきテーマを絞り、国民的議論を興しそのうえで政治力で実現していくべきだと思います。
 ・・・
 さてここに4日付けの朝日新聞社説があります。

少子高齢化―がんばりようがあるか
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

 社説冒頭から頭が痛いです。

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 たぶん、「がんばりようがある」とわかれば、みんな、なんとか、がんばっちゃうんだと思う。/「がんばりようがない」というときが、いちばん、じつは、くるしいわけで。(糸井重里「羊どろぼう。」から)
 「がんばりようがある」と思うのは、どんなときだろう。
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 よくわからない始まり方ですが、続いて「労働経済白書の試算」では「働き手が押しつぶされる肩車型のイメージとは随分違う」と説明していきます。

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 65歳以上の高齢者が今年、3千万人を突破した。20〜64歳の現役世代は減少していく。65年に9.1人で1人のお年寄りを支える「胴上げ型」だった日本社会は、いまや2.4人で1人の「騎馬戦型」。2050年には1.2人で1人を支える「肩車型」になる――。
 政府が社会保障と税の一体改革を訴えるため、盛んに発信したメッセージである。
 これで「がんばれる」だろうか。現役世代は肩の荷が際限なく重くなる絶望感を抱き、高齢者は年をとることが何か悪いことのようで不安になる。そんな反応が自然だろう。
 ここで示された人口構成の変化にうそはない。
 だが、「支える」ための負担の重さは本来、「働いていない人」1人を何人の「働いている人」で支えるかで示すべきだ。
 この指標だと、見える風景は違ってくる。
 今年の労働経済白書の試算によると、働いていない人と就業者の比率はここ数十年、1対1前後で安定してきた。
 高齢者が増える一方、子どもの数が減ることで、社会全体としてみると、働いていない人の割合が極端に高まっているわけではないからだ。
 さらに白書は今後、一定の経済成長を達成し、多くの女性や高齢者が働くようになるケースでは、就業者は現状の延長に比べ、2020年で352万人、30年で632万人増えるという見通しも示している。今より働く人の比率が増える。
 働き手が押しつぶされる肩車型のイメージとは随分違う。
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 そしてやはり「女性の就業」が鍵を握っていると指摘します。

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 もちろん、年金や医療、介護でお金がかかる高齢者が増えるため、社会全体での負担増は避けられない。
 ただ、働いていない人が就業者に回れば肩の荷は軽くなる。
 ことに女性の就業である。女性が働きやすい政策が展開されると、出生率が上昇する傾向は多くの先進国でみられる。子育ての支援は、女性の就業率を向上させながら、少子化も改善するという点で効果が大きい。
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 で、結論がこれ。
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 働ける人が働くのは「がんばりようがある」世界である。そこに目を向けて、一人ひとりが「がんばっちゃう」と、世の中は変わる。
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「一人ひとりが「がんばっちゃう」と、世の中は変わる:

 ですか。
 ・・・
 ふう。

 いったいこの社説は何を訴えたいのか、まったく理解できません。
 女性が働きやすくなるための具体的な提言はいっさいまったくなく、「働ける人が働くのは「がんばりようがある」世界」なのだから、「一人ひとりが「がんばっちゃう」と、世の中は変わる」んだと、まったく意味不明で、非建設的で、根性論にもなっていません。

 この朝日社説は読者に何を訴えたいのか、私には全く理解できません。

 おかしいのは私木走なのか、朝日社説のほうなのか、
 聡明な読者のみなさん、この朝日社説が何を言いたいのか教えてください。
(木走まさみず)

朝日社説全文は以下。

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少子高齢化―がんばりようがあるか

 たぶん、「がんばりようがある」とわかれば、みんな、なんとか、がんばっちゃうんだと思う。/「がんばりようがない」というときが、いちばん、じつは、くるしいわけで。(糸井重里「羊どろぼう。」から)

 「がんばりようがある」と思うのは、どんなときだろう。

 65歳以上の高齢者が今年、3千万人を突破した。20〜64歳の現役世代は減少していく。65年に9.1人で1人のお年寄りを支える「胴上げ型」だった日本社会は、いまや2.4人で1人の「騎馬戦型」。2050年には1.2人で1人を支える「肩車型」になる――。

 政府が社会保障と税の一体改革を訴えるため、盛んに発信したメッセージである。

 これで「がんばれる」だろうか。現役世代は肩の荷が際限なく重くなる絶望感を抱き、高齢者は年をとることが何か悪いことのようで不安になる。そんな反応が自然だろう。

 ここで示された人口構成の変化にうそはない。

 だが、「支える」ための負担の重さは本来、「働いていない人」1人を何人の「働いている人」で支えるかで示すべきだ。

 この指標だと、見える風景は違ってくる。

 今年の労働経済白書の試算によると、働いていない人と就業者の比率はここ数十年、1対1前後で安定してきた。

 高齢者が増える一方、子どもの数が減ることで、社会全体としてみると、働いていない人の割合が極端に高まっているわけではないからだ。

 さらに白書は今後、一定の経済成長を達成し、多くの女性や高齢者が働くようになるケースでは、就業者は現状の延長に比べ、2020年で352万人、30年で632万人増えるという見通しも示している。今より働く人の比率が増える。

 働き手が押しつぶされる肩車型のイメージとは随分違う。

 もちろん、年金や医療、介護でお金がかかる高齢者が増えるため、社会全体での負担増は避けられない。

 ただ、働いていない人が就業者に回れば肩の荷は軽くなる。

 ことに女性の就業である。女性が働きやすい政策が展開されると、出生率が上昇する傾向は多くの先進国でみられる。子育ての支援は、女性の就業率を向上させながら、少子化も改善するという点で効果が大きい。

 働ける人が働くのは「がんばりようがある」世界である。そこに目を向けて、一人ひとりが「がんばっちゃう」と、世の中は変わる。