180度主張を変えながら、前に攻撃した鳩山総務大臣に謝罪しない朝日社説:『「かんぽの宿」白紙』

 180度主張を変えながら、鳩山総務大臣に謝罪しない朝日社説「かんぽの宿
http://d.hatena.ne.jp/oguogu/20090214/1234596348
酔っ払いのうわごと 2009-02-14 1pt4fl oz
■[朝日新聞]社説が「ぶれている」   より

今年になってから今日を含めて3回、朝日新聞は「かんぽの宿」売却問題について社説を書いています。それを遡ってみましょう。

かんぽの宿」白紙―西川郵政は説明つくせ
(cache) asahi.com朝日新聞社):社説
http://s02.megalodon.jp/2009-0214-1159-59/www.asahi.com/paper/editorial20090214.html
(略)西川社長が「公明正大に進めている」と胸を張った入札は、一連の経緯が明らかになるにつれ、むしろ●『謎めいた部分』が出てきた。
 いちばんの疑問は、売却対象に入っていた東京都世田谷区の「レクセンター」が、入札の最終段階で外された点だ。その後、最後まで競っていたホテル運営事業者が入札から降りてしまった。その結果、1社だけ残ったオリックス不動産が落札した。入札の「競争状態」が最後まで確保されていたのか、疑念が生まれている。
 最後に売却対象から外したのはなぜか。オリックス不動産に落札させるためではなかったのか。それ以外に高値売却の方法はなかったのか――。
 こうした点に対する納得できる説明はなされていない。西川社長は総務相に白紙撤回を伝えた際も、報道陣の取材に一切応じなかった。日本郵政は週明けに白紙撤回を正式に発表するという。まずはその席で、●『十分に説明しなければならない。』

●これが朝日新聞の今日の社説です。その2週間前は、このような事を書いていました。

かんぽの宿売却―徹底調査と公表で道開け
(cache) asahi.com朝日新聞社):社説
http://s02.megalodon.jp/2009-0131-1200-00/www.asahi.com/paper/editorial20090131.html
 鳩山発言を受け、国民の間からも売却に疑問の声が出ている。<略>
 もちろん以上の議論は、入札が適正に行われたことが大前提である。談合のような不正や不適切な事務処理があったなら話は別だ。鳩山氏は昨日の国会答弁で、そのような疑義を口にした。それなら問題点を具体的に示してほしい。担当大臣なのだから、ただ
●『「疑問あり」では済まない。』

●更に2週間前。

かんぽの宿―筋通らぬ総務相の横やり
(cache) asahi.com朝日新聞社):社説
http://s01.megalodon.jp/2009-0118-1200-02/www.asahi.com/paper/editorial20090118.html
 日本郵政西川善文社長から説明を受けたが、鳩山氏は「納得できない」という。だが、理由が不明確で納得できないのは、鳩山氏の「待った」の方ではないのか。許認可という強権を使い、すでに終わった入札結果を白紙に戻そうというのなら、その根拠を明示する●『責任はまず鳩山氏にある。』

だんだんと朝日新聞の主張が変わって来たのが解ります。

次々に出て来る入札方法の不透明さや、以前に払い下げられた郵貯関係の建物が6000倍で売却されたというような報道が、世論を変えていくのに合わせて軌道修整したのでしょう。朝日新聞も商売ですから、購読者の意向と掛け離れた社説を書き続けられ無かったのだと思います。

しかし、こういう態度を朝日新聞的には、社説が「ぶれている」とは言わないのでしょうか。私からすると麻生総理の郵政民営化に関する発言と同じくらい「ぶれている」ように思えます。最初は鳩山大臣に説明を求めていたはずが一転して西川社長に説明を求めるようになってしまうのですから180度逆と言っても良いでしょう。そう麻生総理が郵政民営化「反対」から「賛成」に変わったのと同じです。麻生総理が「ぶれている」のなら朝日新聞だって「ぶれている」のではないのでしょうか。

それと、朝日新聞も主張を変えたのであれば、鳩山総務大臣に謝罪すべきでだと思います。最初は『筋の通らぬ』『横やり』だとまで言っていた鳩山大臣の『待った』に利があった事を今日の社説では認めてしまったのですから。少なくとも、鳩山大臣の疑問は、もっともだったくらいの事は言うべきでしょう。

こういう事を書いていると私も鳩山大臣の「かんぽの宿」売却『待った』に賛成していると思われるかも知れません。しかし、私は最初の朝日新聞の主張と同じで売却する方に賛成なのです。それは積み上がっていく赤字や、従業員の継続雇用を考えると、早く手放した方が国民負担が小さくなると思うからです。個別売却などして売れ残ったら、どうするのでしょうか。

ですから私は、逆に朝日新聞が主張を変えたのを残念に思っています。また、そう思うからこそ「ぶれている」と言っているわけです。

ただ、政治的に考えると鳩山大臣の行動は評価できるとも思っています。すんなり売却していたら民主党に利用されていたかも知れないのからです。それに表面的には国民も鳩山大臣の『待った』を評価しているようですから、支持率が低迷している麻生内閣では唯一と言って良いほどの“成果”になりましたし。

社説全文は以下
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かんぽの宿」白紙―西川郵政は説明つくせ

 混迷が続く「かんぽの宿」売却問題で、日本郵政西川善文社長が鳩山総務相に対し、オリックス不動産への売却を白紙に戻すと報告した。年初に総務相が「待った」をかけて40日近く。ひとまず収拾の方向になった。

 ただし、西川社長が「公明正大に進めている」と胸を張った入札は、一連の経緯が明らかになるにつれ、むしろ謎めいた部分が出てきた。

 いちばんの疑問は、売却対象に入っていた東京都世田谷区の「レクセンター」が、入札の最終段階で外された点だ。その後、最後まで競っていたホテル運営事業者が入札から降りてしまった。その結果、1社だけ残ったオリックス不動産が落札した。入札の「競争状態」が最後まで確保されていたのか、疑念が生まれている。

 最後に売却対象から外したのはなぜか。オリックス不動産に落札させるためではなかったのか。それ以外に高値売却の方法はなかったのか――。

 こうした点に対する納得できる説明はなされていない。西川社長は総務相に白紙撤回を伝えた際も、報道陣の取材に一切応じなかった。日本郵政は週明けに白紙撤回を正式に発表するという。まずはその席で、十分に説明しなければならない。

 同時に、近く設置する予定の専門家による検討委員会に、第三者の目でこの点についても厳しくチェックしてもらわなければ疑念は解消しない。また総務相としても、白紙撤回を事実上指示したからには、独自に調査し、入札にどんな問題があったのかを解明し国民に示す責任があるだろう。

 西川郵政は今回に限らず経営情報を出し渋り、官業体質へ逆戻りしてきた。この手痛い失敗を機会に、民間会社として自立の道を歩む決意を新たにしなければならない。

 総務相は売却にノーを通した。しかし心配なのは、未曽有の不況が深まるなか、今回より有利な条件で売却できるのかという点だ。「かんぽの宿」は年40億〜50億円の赤字が出ている。1日1千万円以上。売却が遅れれば赤字が積み重なり、赤字分だけ高く売れないと売却損が増えてしまう。

 しかも、売却には不利でも、雇用を守るという条件は必要だ。一括売却するはずだった79施設は個別に売ることになりそうなので、よけいに時間も手間もかかる。条件の悪い施設は買い手が見つからないかもしれない。

 今回の売却は、「2400億円をかけた国民の資産を109億円で売るのか」という強い反発を呼んだ。

 だが、採算を度外視して造った施設がしだいに古くなり、地価も下落を続けているのだ。売却方法の工夫でカバーできる範囲は限られている。売却をやり直しても大幅な損失が生じる恐れを覚悟しておく必要があるだろう。

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かんぽの宿売却―徹底調査と公表で道開け

 日本郵政が「かんぽの宿」のオリックス不動産への売却を一時凍結すると表明した。弁護士や公認会計士など外部の専門家による第三者委員会を設けて売却プロセスを洗い直すという。

 売却に対する鳩山総務相の「待った」は、根拠が不明確で納得できないが、日本郵政は入札が適正だったというのなら、徹底した調査と結果の公表で、それを証明するしかない。

 鳩山発言を受け、国民の間からも売却に疑問の声が出ている。その核心は、購入・建設に2400億円もかかった79施設を109億円で売るのはおかしい、という点だろう。

 たしかにこれでは大損だ。しかし、よく考えてみたい。

 バブル崩壊後、日本の地価は下がり続けている。事業用の不動産価格は事業の収益性で決まる、というのが今日では常識になっている。ところが、売却施設のうち黒字が出ているのは11だけで、全体では40億〜50億円の赤字が毎年出ている。そのうえ、正規・非正規3200人の従業員の雇用継続にも努めなければならない。

 こうした条件のもとで、入札は行われた。となれば、当初の投資価格から大幅に下落するのは避けられないと思われる。しかも、地価が大きく上昇する見込みはなく、売却が遅れれば赤字がそれだけ累積する。

 では、どんな価格が適切なのか。専門家の間でも意見が分かれるだろう。だが、公開の入札を行い、いちばん有利な売却条件を落札とするのだから、それが安くても、現状での市場の判断として受け入れる以外にないのではなかろうか。「もっと高く売れる」というなら、そういう買い手を見つけて来るしかない。

 これほど巨額の損失を出すことになった責任はどこにあるのか。郵貯簡保の客から預かったお金を、収益性を無視して施設建設に投じた放漫な官業ビジネスと、そうした施設を選挙区へ誘致してきた政治家こそ責めを負うべきだろう。この点も含め、総務相には問題の全体像を見てほしい。

 もちろん以上の議論は、入札が適正に行われたことが大前提である。談合のような不正や不適切な事務処理があったなら話は別だ。鳩山氏は昨日の国会答弁で、そのような疑義を口にした。それなら問題点を具体的に示してほしい。担当大臣なのだから、ただ「疑問あり」では済まない。

 日本郵政にも注文がある。売却が問題視されてからも、入札についての情報をきちんと出さず、疑念を膨らませる結果になった。経営姿勢が内向きになって経営情報を出し渋り、官業体質へ逆戻りしているように思える。これは経営の求心力低下にもつながっている。この機会に、民間企業としての決意を新たにしてほしい。

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かんぽの宿―筋通らぬ総務相の横やり

 日本郵政が全国にもつ宿泊施設「かんぽの宿」をオリックス不動産へ譲渡する話に対し、許認可権をもつ鳩山総務相が「待った」をかけている。

 日本郵政西川善文社長から説明を受けたが、鳩山氏は「納得できない」という。だが、理由が不明確で納得できないのは、鳩山氏の「待った」の方ではないのか。許認可という強権を使い、すでに終わった入札結果を白紙に戻そうというのなら、その根拠を明示する責任はまず鳩山氏にある。

 かんぽの宿は年間200万人ほどの利用があるものの、赤字続きだ。郵政民営化から5年以内に譲渡するか廃止することになっていた。

 日本郵政は前任の増田総務相が認可した08年度の事業計画にかんぽの宿の譲渡を盛り込み、昨年4月から入札手続きに入った。27社が応札し、2度の入札でオリックスに決まった。

 全国の宿70施設と社宅9カ所を一括して約109億円で売却する。資産の帳簿上の値打ちは141億円だが、借金を差し引いた純資産は93億円。落札価格は、これを16億円ほど上回る。

 鳩山氏が問題だと指摘するのは次の3点だ。なぜ不動産価格が下がるいま売るのか。なぜ一括売却なのか。なぜ規制改革・民間開放推進会議の議長を長く務め、郵政民営化を支持していた宮内義彦氏が率いるオリックスに売るのか。「国民が“出来レース”と見る可能性がある」として、譲渡に必要な会社分割を認可しないという。

 これに対して西川社長が説明した内容は、しごくもっともに思える。

 赤字が毎年40億〜50億円あり、地価が急上昇しない限り、早く売る方が有利だ。一括売却でないと不採算施設が売れ残り、従業員の雇用が守れない。全国ネットとした方が価値も上がる。最高額で落札し、雇用を守る姿勢が最も明確だったのがオリックスだ――。

 鳩山氏は譲渡価格109億円が適切か総務省に調査させるという。だが調査する前から「納得する可能性は限りなくゼロに近い」とも発言している。

 これはとうてい納得できない。明治時代の官業払い下げならいざしらず、競争入札を経た結果に対し、さしたる根拠も示さずに許認可権を振り回すのでは、不当な政治介入だと批判されても抗弁できまい。

 宮内氏は規制緩和や民営化を推進してきた。官僚任せでは構造改革が進まないため、当時の政権が要請したものだ。過去の経歴や言動を後になってあげつらうのでは、政府に協力する民間人はいなくなってしまう。

 自民党内では、郵政民営化の見直しの動きが続いている。鳩山氏はこれとの関連の有無について言及していないが、もしも「待った」の真意が民営化策の見直しにあるのなら、正面から堂々とそちらの主張をするべきだ。