「ガス田開発―現実的な妥協ができた」朝日の媚中社説:結局中国は約束を守りませんでした

協議中のガス田、中国が開発継続 政府が抗議
2009年1月4日18時18分

 東シナ海のガス田問題で、日中両政府が昨年6月に協議継続で合意していたガス田「樫(かし)」(中国名・天外天)について、中国側がその後も独自に開発を続けていることがわかった。日本側は協議中のガス田を中国側が一方的に開発することは認められないとして抗議した。

 同月の日中合意では、「白樺(しらかば)」(中国名・春暁)など2カ所について両国が共同出資や共同開発することで合意。樫などこれ以外のガス田については、早期の共同開発実現を目指して協議を継続することになっていた。日本側は、協議中は中国は開発を中断すべきだとの立場だった。

 複数の政府関係者によると、同月以降、航空自衛隊が上空から調査した結果、中国が樫を引き続き開発していることが判明したため、外交ルートを通じて中国側に抗議。中国側は、協議が決着していない以上、開発を続けることは問題ないと反論したという。

 樫について中国側は日中合意前から採掘施設を整備し、生産に着手していると見られる。(東岡徹)

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朝日社説「ガス田開発―現実的な妥協ができた」を読んで
2008.06.19 Thursday | category:中国・台湾
朝日社説「ガス田開発―現実的な妥協ができた」を読んだ。言うまでもなく、昨日発表されたガス田開発の日中の妥協について述べたものである。「周回遅れ」どころか「百周送れ」だったこの問題。それがとにもかくにも両政府が合意したのだから、0点をつけるわけにも行くまい。この合意の内容が日本にとって必ずしも十分でないにしても、それは福田政権のせいではない。今までこの問題をたなざらしにしてきた歴代の内閣のせいである。これは書いておかないといけない。少なくともこの件に関しては「福田サン、お疲れ様」と言うしかない。

 さて、下に貼り付けた「朝日社説」。一見もっともらしいことを書いているが、それでも「?」と思うところが何箇所かある。

 まず、
この問題は5年ほど前、中国側が中間線付近で一方的に開発を始めたことから急浮上した。当時、小泉首相靖国神社参拝などで関係が険悪化した時期だったため、両国のナショナリズムがぶつかり合う形になってこじれた。

の部分である。中国が一方的に開発を始める、という無法と小泉首相靖国参拝を並べることによって、あたかも「どちらも悪い」という風に話を持っていっている。性質も「悪質性」も全く違うこの二つを同等のものに扱おうとしているのは、少し変じゃないかい?また「両国のナショナリズムがぶつかり合う形」と書いているが、ナショナリズムがこの件の問題とは思わない。傲慢な大国(しかも共産党独裁国家)とその近辺の国とのあつれきが問題なのであって。これは、中国vsベトナム、中国vsフィリピンでの「海の問題」と並列させて考える問題なのではないだろうか。

 朝日流の「とにかく二つを並べて『どっちもどっち』の形にもっていく」技術は他にも見られる。
一時は、中国側がガス田近くの海域に軍艦を出動させて示威行動を見せたり、日本側も日本企業に開発許可を与えたりして緊迫したこともあった。

軍艦を出動させての威嚇と、領海内の全うな開発許可を並べている。簡単に言えば「人の庭に入ってきた泥棒」と「自分の庭を手入れしようとしている家主」を同列に扱っている。いくらなんでもこれはひどいんじゃないかい?


温家宝首相が「東シナ海を平和の海に」と和解を呼びかけて2年がたつ。決着までこれだけの年月がかかったところに、ナショナリズムが絡む問題で妥協することの難しさが見て取れる。

の部分も少し変。難しいのは日本ではなく、中国のような力がある独裁国家とつきあうことが難しいのだ。書くべきところはちゃんと書くのがジャーナリズムではないだろうか?

 朝日社説は
原則での対立は横に置いて、大局で手を結ぶ。そんな現実的な知恵をほかの懸案でも働かせてもらいたい。

で締めくくられる。「原則での対立は横において・・・」の部分は中国の都合そのものだ。それでいけば「民主主義が存在しない」「チベットでもわかるように人権がなおざり」「言論の自由もない・・・」「相手の主権を平気で蹂躙」という問題にも目をつぶれ、と言っているようなものだ。さらに「他の懸案でも・・・」と書いているのは、「ひょっとして」尖閣問題のことを言っているのであろうか?「念のために書いておくが」尖閣問題は存在しない。尖閣諸島はれっきとした日本の領土。「尖閣問題」があるのではなく「尖閣に関する因縁ふっかけ」という問題があるだけだ。ともあれ、「朝日社説」を書いた人はお疲れ様。でも、一体どこの、誰の都合を社説という形で書いたのか、読者は考える必要がありそうだ。

(今回の一冊)
異形の大国 中国―彼らに心を許してはならない
そうだったのか!中国

朝日社説「ガス田開発―現実的な妥協ができた」
日中関係の懸案のひとつに、ようやく解決の道筋がついた。東シナ海のガス田について、一部を共同開発することなどで両政府が合意したのである。

 海底資源などの権利を主張できる排他的経済水域EEZ)の線引きに絡んで、長くもめていた問題だ。やっかいな線引きを棚上げし、なんとか妥協にこぎつけたのはよかった。

 合意の対象は2カ所の開発だ。すでに稼働直前の段階にある白樺(しらかば)ガス田(中国名、春暁)について、日本側が中国の開発会社に出資し、出資比率に応じて利益を分ける。もう一つは、日本側が主張する両国沿岸からの中間線をまたぐ海域で、新たに日中折半で共同開発する。

 双方が日中関係の全体をにらんで歩み寄ったということだ。100%中国資本で進めてきた開発に日本の参加を認めるのは中国側の譲歩だが、出資比率の交渉はこれからだ。日本側もこの2カ所以外の開発については明確な言質をとらなかった。

 この問題は5年ほど前、中国側が中間線付近で一方的に開発を始めたことから急浮上した。当時、小泉首相靖国神社参拝などで関係が険悪化した時期だったため、両国のナショナリズムがぶつかり合う形になってこじれた。

 そもそもEEZは、沿岸から200カイリまでを主張できるのが基本的な国際ルールだ。だが、日中のように地理的に接近していると双方の200カイリが重なってしまい、どこに線を引くかで利害がぶつかることになる。

 日本は、両国の沿岸からの中間をとってEEZの境界とするよう提案している。一方、中国は大陸棚が続くところまで沿岸国の権利は及ぶとの理屈から、沖縄の近くまでを中国側とするよう主張している。

 一時は、中国側がガス田近くの海域に軍艦を出動させて示威行動を見せたり、日本側も日本企業に開発許可を与えたりして緊迫したこともあった。

 結局、今回の合意は線引き問題に触れなかった。双方の主張が平行線のままなのは変わらない。

 それでもこうした妥協の形ができたのは、福田首相胡錦濤国家主席の政治的な決断があったためだ。部分的に譲歩しても関係改善の流れに弾みをつけた方が、お互い利益が大きいという大局的な判断だ。

 北京五輪を前に対日関係を安定軌道に乗せておきたいとの中国側の思惑もあったに違いない。

 温家宝首相が「東シナ海を平和の海に」と和解を呼びかけて2年がたつ。決着までこれだけの年月がかかったところに、ナショナリズムが絡む問題で妥協することの難しさが見て取れる。

 原則での対立は横に置いて、大局で手を結ぶ。そんな現実的な知恵をほかの懸案でも働かせてもらいたい。