【朝日社説】「中国様はアメ公より核保有数が少ないんだぞ!」  より

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サラリーマンやってる猫の一匹集会所2009/04/29 10:41
【朝日社説】「中国様はアメ公より核保有数が少ないんだぞ!」 より

4月29日付朝日新聞社
http://www.asahi.com/paper/editorial20090429.html#Edit2

軍縮と日本―首相が先頭に立ってこそ

 オバマ米大統領プラハ演説で打ち出した「核のない世界」への取り組みを、日本としてどう後押しするか。中曽根外相が「ゼロへの条件――世界的核軍縮のための11の指標」と題する講演で、政府としての方策を示した。

 米ロ両国は第1次戦略兵器削減条約に代わる新条約の交渉妥結を急ぎ、さらなる核弾頭の削減などを通じて新しい安全保障の秩序づくりでリーダーシップを発揮してほしい。中国などその他の核保有国も核軍縮努力をすべきだ。包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を促す。

 外相の意欲は評価するし、来年、日本で開くという核軍縮のための国際会議も成功させたいと思う。だが、残念ながら、演説は物足りない。なぜか。唯一の被爆国家としての主体的な取り組みが乏しいのだ。

 外相は、中国に対して「核兵器削減に取り組んでおらず、情報開示も一切行っていない」と批判し、軍備の透明化や軍縮努力を促した。米国だけが核を削減すれば、中国への抑止力が弱まり、この地域の軍事バランスが揺らぎかねないという懸念があるからだろう。それは理解できる。

 だが、米国が4千発以上の核弾頭を持つのに対し、中国の保有数はひとケタ少ない。中国政府はさっそく演説に反発している。

 肝心なのは、核の役割を減らす中で、東アジアの安定をどう確かなものにしていくのかということなのではないか。

 困難な作業ではあるが、中国にも日本にも、その他の周辺国にも利益になる新しい安全保障の枠組みづくりを考える必要がある。なのに、外相演説はこの点にほとんど触れていない。

 何より物足りないのは、麻生首相がこの問題を外相に委ねてしまっていることだ。

 首相は先週、オバマ大統領と電話で協議し、大統領の演説を「強く支持する」と語った。だが、日本としてどう考え、行動していくつもりなのか、首相の肉声は聞こえてこない。

 北朝鮮が核実験をした3年前、外相だった麻生氏は自民党内で核武装論が取りざたされた時、非核三原則は守ると言いつつ「いろいろな議論をしておくのはいいことだ」「言論を封殺するという考え方にはくみしない」などと語った。

 核軍縮に無関心とは思いたくない。オバマ演説を機に動き始めた核軍縮の流れを、被爆国の首相として後押しし、実現に結びつけていく。そんな明確な考えを表明してもらいたい。

 首相はきょうから中国を訪れ、胡錦濤国家主席温家宝首相と会談する。経済危機などの課題は山積しているが、核軍縮への首相の思いを語る絶好の機会だ。
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>それは理解できる。

>だが、米国が4千発以上の核弾頭を持つのに対し、中国の保有数はひとケタ少ない。●中国政府はさっそく演説に反発している。

朝日得意の「Yes But話法」です。この場合は「決してアメリカの核だけを削減しろと申してはおりません。」の後に「ですが、」が入り、後は支那の代弁じみた能書きが延々と続く仕掛けであります。

ここで吾輩が驚いたのは、核弾頭数の“多い少ない”を朝日が議論の俎上に載せていることです。常々「核兵器は絶対悪」と声高に主張している朝日の姿勢からすれば、1発だろうが4千発以上だろうが関係ないはずです。にも関わらず通常兵器並みに数の“多い少ない”の議論を展開し始めたのには驚きです。

「絶対悪」を数の“多い少ない”で相対的に論じる矛盾をさておくとしても、仮に“多い少ない”の問題であるならば、核兵器を1発も持っていない日本は支那に「反発」されるいわれなど全くないはずです。にも関わらず、朝日は

>中国にも日本にも、その他の周辺国にも利益になる新しい安全保障の枠組みづくりを考える必要がある。なのに、外相演説はこの点にほとんど触れていない

などと寝言を言っています。寝言であっても「中国様の利益」が頭から離れる瞬間はないようですな、朝日論説諸氏の頭からは。

だいたいね、支那にとっての「利益」とは東アジア、いやインド洋から西太平洋全域に及ぶ地域での覇権を確立することですわ。そのための核であり、空母建造計画であり、そのための過去20年以上にわたる前年対比増率2ケタ軍事費増なのです。そんな支那の「利益」と日本の「利益」が共存するという幻想を平気で振りまける朝日のお気楽さというか無責任さには開いた口がふさがりません。

(追加)

安保 仁さんにコメントをいただいたのですが、そうです、朝日にとっては日本に照準を合わせている支那の核弾頭も、そうではないアメリカの核弾頭(しかも日本にとっては(一応)「核の傘」)も同じってことですな、この社説を読む限りは。

朝日は

>唯一の被爆国家としての主体的な取り組みが乏しい

などと日本の立場を「唯一の被爆国家」と規定し、アメリカからも支那からも等しく距離を置くべき立場であるかのように論じますが、実際の日本は支那に核の照準を合わされ、アメリカの核の傘の下にいる立場です。

そういうことを故意か過失か知りませんが全部すっ飛ばし、中曽根外相演説への支那の身勝手な「反発」を批判せず、それどころか逆に「中国様の利益も忘れるな」と外相に文句をつける朝日です。

朝日理想の「世界中から核をなくそう!」式の地球市民的理想も結構ですが、我が日本を狙っている核弾頭とそうでない核弾頭とをごちゃ混ぜにして論じられる感覚が理解できません。