『東アジア共同体―自由貿易圏づくりが先だ』:中国が共産党独裁国家であることに一切触れない朝日社説

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日本は日本、大陸は大陸
東アジア共同体自由貿易圏づくりが先だ

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2
東アジア共同体自由貿易圏づくりが先だ(朝日) 
東アジア共同体」をめぐる発言や動きが国際舞台で目立つようになってきた。鳩山由紀夫首相が推進を表明したことも力となって、先の東アジアサミットでは、政府間で域内の経済連携を研究することで合意した。
 しかし、首相が語る共同体は、まだぼんやりした理念にすぎない。中国と韓国、東南アジア諸国などはそれぞれ、人口も経済力も格差が著しく、政治体制も異なる。この多様な地域を、欧州連合(EU)のように通貨から政治面まで含めて統合するというのは、なお夢物語に近い。
 現実的なのは、「共同体」への足がかりとなる「共通市場」化ではあるまいか。域内での経済連携の拡大による自由貿易圏づくりだ。
 ヒト、モノ、カネがスムーズに流れることで域内の経済成長につながる、という未来図である。だが、それさえも簡単なことではない。
 輸出競争力がある中国、対日貿易赤字の拡大を恐れる韓国、農産物輸入自由化に踏み切れない日本。それぞれの間で自由貿易協定(FTA)を結ぶことに尻込みしているのが実態だ。
 鳩山政権は、まずこうした現状を打開するために汗をかくべきだ。中国、インドを代表格とする新興国はますます繁栄の道を歩む。アジアは世界の成長センターとして発展するだろう。
 人口減少と超高齢化で陰りが出ている日本は、この地域の成長力や「アジア内需」と連動して未来を切り開く覚悟が必要である。
 まず域内でFTAの機運を盛り上げるような協力を積み重ねてはどうか。たとえば、アジアを縦断する交通路をつくることや、通関手続きや食品の安全基準の整備、環境問題での協力など、互いの利益が期待できるテーマで成果を上げていくことだ。
 はるか先の「共同体」についてではあるが、構成メンバーについての意見は割れている。中国は、日中韓東南アジア諸国連合による13カ国を主張。日本はインドや豪州、ニュージーランドを加えた16カ国の枠組みを提唱し、隔たりは大きい。
 米国の扱いも対立の火種だ。米国抜きの共同体をつくろうとする議論に対し、米国は不満を表明している。鳩山政権は、岡田克也外相が「米国まで含めることになっていない」と言うかと思えば、鳩山首相は米国の関与を求める発言をしている。
 共同体の構成について結論を急ぐことは問題をこじらせ、生産的ではない。日本はむしろ、政治的にも経済的にも緊密な米国とのFTAをアジア諸国とのFTAと同時に推進することに力を注ぐべきだろう。
 東アジアと環太平洋の共通市場化を進めながら「共同体」のありようをじっくり考えていきたい。
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上の社説で書かれていることそのものは、一つの考え方であって、特にひどい意見ではないと思う。ただ気になるのは、「書かれたこと」ではなくて「書かれなかったこと」である。

東アジア共同体というからには中国抜きで話はできないわけだが、中国という国が共産党独裁国家であるということ、そして知的財産権を尊重しないなど、「わがまま度」が非常に高い国であるということには触れていない。

『通関手続きや食品の安全基準の整備、環境問題での協力など、互いの利益が期待できるテーマで成果を上げていくことだ。』
と書いているが、日本からの「持ち出し」で終わるのであれば意味はない。あくまで日本にとってメリットがなければ・・・。毒ギョーザ事件がいまだに解決していないことからもわかるだろう。中国が誠実に協力するなんてことはあまり期待できない。

『鳩山政権は、まずこうした現状を打開するために汗をかくべきだ。』
と書かれているが、日本だけが汗をかいても一方通行の愛情に終わるだけだ。あくまで相互に協力し合わないと。中国や韓国が汗をかく意思があるのだろうか。
朝日社説はそのことにも触れるべきだった。